正義の者協会 山の手支部報告書No.00162285
2019年7月26日

「鬼」に関する報告書

正義の者協会 山の手支部 
支部長 日向 夏彦
副支部長 栗木 朴

■要約
 本調査報告では、山の手市に生息すると噂されてきた<鬼>と呼ばれる生物についての調査と生活実態について解説する。

■背景
 2017年6月に山の手支部は肌の色が赤いツノの生えた、日本の伝承に伝わる<鬼>に似た生物を捕え、ヒアリングを行ってきた。
 その結果、過去行われてきた“鬼払いの儀式”や、“清めの儀式”で住処を追われ、敵組織に属するしかなくなった<鬼>という存在が居る事、彼らに対する理解が不十分であると認識した。

■経緯
 <鬼>は捕えられた後、正義の者協会山の手支部日向夏と栗木を中心としたヒアリングを行った。2日後解放し、『決め台詞、ヒーローポーズの件』で抗議文が届いた後、正義の者協会に現れ、苦情を告げた。
 <鬼>は協会に確保された事により、組織を抜けることになったと報告を受けた為、衣食住の保証について契約を交わし、正義の者協会山の手支部で保護する形となった。

■調査目的
 山の手市外にも彼らと同じ種族が存在し、生活に苦慮していると考えられる事から、敵組織に仲間として取り入れられる前に、協会が介入することにより、将来的な種への被害を防ぎ、彼らの生活を安定させる事、共存するためにどうするべきか理解を深める事を目的とした。

■成果
 2017年6月に捕えた<鬼>に対する長期的なヒアリングの結果、信頼関係を構築することに成功。現在彼は山の手支部にて、「Corno(コルノ=イタリア語で“ツノ”を意味する)」と名乗り、「コル」「コルちゃん」等と呼ばれ、山の手市内外に隠れる<鬼>の捜索と、交流のため就労してもらう事となった。

 3ヶ月の山の手市内外の調査により、3組の<鬼>の群を発見した。
 3組とも、親を中心とした家族の集団であった。これにより<鬼>は家長を中心とした家父長制が敷かれていると考えられる。

 2組の家族との交流から、<鬼>の一族たちは人間社会と共に成長があったが、天然痘やはしかに対する耐性を有していたことにより、差別を受け、山の中で生活するようになった事が口伝されている。
 天然痘やはしかへの耐性はコルノの健康調査で明らかになった。
 コルノは人間に換算すると約15歳くらいであると明らかになった。学校のようなものには通っていなかった様子だが、絵本や漫画に強い興味を示した。TVの使い方を教えると、子供番組や、少年向けアニメーションを好んで見ていることが判った。これは人間の15歳程度の青少年と同様の反応と思われる。

 2組の家族の内、6名が正義の者協会が運営する学校施設に入学した。
 後、2名が山の手支部正義の者協会に就職した。1人は実働部隊として入隊、もう一人は調理部に入部した。
 

 山の手市内の植物、生物に関する情報交流が行われた。
 これにより、山の手市内に<ツチノコ>と呼ばれる生物が存在する可能性が指摘された。2019年5月、キノコを採取していた末娘が「ツチノコを撫でた」と証言した。「頭が小さく、腹が草鞋のように平べったく、尻尾は蛇のように細かった」という、従来の<ツチノコ>情報と似ている。撫でた時の感触は「トカゲのようだった」と語った。

■課題
 2組の家長は山の手市正義の者協会との交流を認めたが、1組は人間に対する不信から話し合う事そのものが困難であった。コルノの尽力により、家長が話し合いに応じてくれたが、山の手支部との交流は一部(正義の者協会側の食料、生活物資支援)に留まった。
 
 調査を行ったコルノの家族がどこに居るのか不明である。

 <ツチノコ>に関する報告を行ったところ、一部の研究員が山の手支部への異動を申し出た。数名は20枚以上に及ぶ異動の目的を文書で提出した。現在、保留している。  



目次



↑戻る